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LMC Championships 2008


準々決勝 : 萩原紀幸 vs 平山大輔

Written by Takeshi Miyasaka

8 回戦に渡る長い予選ラウンドを経て、選び抜かれた 8 人の猛者が準々決勝の席へ着く。

あるものはレギュラーシーズンの成績によって得た不戦勝を活かして、あるものは今日使うデッキにすべてを託して勢いつけて駆け抜けて。ここまでに至る過程はそれぞれ違いはあるが、ここから先はみな平等。負けたら終わりの勝負が続いていく。ほとんどのプレイヤーが LMC の常連と呼ばれるプレイヤーであり、それゆえにお互いがお互いに勝ち上がるために越えなければならない壁として十二分な存在であることを知っている。

平山大輔は、「LMC のカイ・ブッディ」増野良輔との「勝ったうえで天に祈らなければならない」最終戦に勝ち、8 位に滑り込んで準々決勝の席に座っている。決勝進出者の中ではプロツアーを知っているプレイヤーであり、翌週に開催されるプロツアーベルリンへの出場権も持っている、場所が違えば挑戦される側に立つかもしれない肩書きを持っている。

しかし、今日は LMC の常連たちによる彼らのための王者決定戦。サークルのようなノリでトーナメントを楽しんできた彼らは、お互いにお互いのプレイヤーがどういう存在であるかを知っている。いつもと違う土地をプレイした瞬間に「え?」と疑問符が口をついて出るくらいには。それは平山も同じことで、自分の前に座っているプレイヤーが、一筋縄ではいかないプレイヤーであることを熟知している。

予選ラウンドを最上位で通過した萩原紀幸は、「一没の帝王」として名が通っている。萩原自身にとってはあまり歓迎したくない二つ名のようだが、裏を返せばみんなの記憶に残るほどプレイオフ進出を果たしているということである。スイスラウンドで無類の強さを誇る萩原のプレイオフ進出回数は 12 回、増野の 14 回に次いで単独 2 位だ。

ネガティブな印象を受ける「一没の帝王」という二つ名も、プレイオフへなかなか進むことができないライバルたちからの羨望と屈折した愛情表現の表れと言えないこともない。ベルリンへ向けて勢いをつけたい平山と、一没の帝王の名を返上したい萩原。

チャンピオンを目指すために最初の大きな壁が、互いの正面に座っている。

Game 1

萩原紀幸

先攻平山の《思考囲い/Thoughtseize》からゲームはダイナミックに始まった。

萩原が公開した充実した手札に一瞬息を呑んだ平山は《レンの地の克服者》を捨てさせる。手札がばれてしまった萩原も《思考囲い》で平山の手札を確認する。

平山の手札にはさらなる《思考囲い》があるのを確認した萩原は、将来的にがんとなり得る《ウーナの末裔》を選ぶ。平山は 2 枚目の《思考囲い》によって、萩原のドローが《不敬の命令/Profane Command》であったことを確認しつつ《台所の嫌がらせ屋》を捨てさせ、《沈んだ廃墟》をプレイしてマナベースを整備する。

2 ターン目、3 ターン目と攻勢をかける予定であったダメージソースを手札にいるうちから除去されてしまった萩原は、予定外に土地をプレイしてターンを終えることしかできない。せめてミシュラ土地でプレッシャーをかけたいところだが、これもアップキープに《やっかい児/Pestermite》《樹上の村》をタップされたりと、地味にターンを稼がれてしまう。その《やっかい児》をメインで《名も無き転置/Nameless Inversion》して、のちのちの《樹上の村》《変わり谷》での攻勢にかける萩原であった。

手札を攻めることでビートダウンとの序盤戦を乗り切った平山は、萩原の作戦を見越したうえで中盤戦へと戦場を移行することに同意した。ミシュラ土地の地上戦とフェアリーによる空中戦。引き込んだ《ウーナの末裔》をプレイして、攻撃へと回す。

殴り続けるためにはマナを要求される萩原としては、《ウーナの末裔》《眼腐りの終焉》しておきたいところであったのだが、そこに刺さる《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》。2/2 フェアリーは 4/4 飛行のモンスターへと成長を遂げる。

平山が持つ最後の手札が《呪文づまりのスプライト》であることを知っている萩原は、《思考囲い》で捨てさせてから《狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman》をプレイ。狼トークン量産による戦場の支配をもくろむ。そして、互いにハンドはゼロ、だ。

Jace Beleren

しかし、手札がない平山がプレイしたのは《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》! 《ジェイス・ベレレン》によって、平山にはあらたな手札がもたらされる。

萩原 「つええなあ」

盤面を確認した平山は《霧縛りの徒党》をレッドゾーンへと送り込む。二度の《思考囲い》と土地によってライフを喪失している萩原のライフは 、これによって 11 となった。

しかし、萩原もそうかんたんにやらせはしない。《狼骨のシャーマン》でめくられた《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus》によって狼トークンが登場する。5 マナを残した平山へプレッシャーをかけるべく、間髪入れずに《変わり谷》《狼骨のシャーマン》をレッドゾーンへ送り込み、《ジェイス・ベレレン》を倒し、平山のライフをタイへ持ち込む。

さらに畳みかけるように《カメレオンの巨像》をプレイするが、平山が《ジェイス・ベレレン》で手にしていたカードは《謎めいた命令/Cryptic Command》。追加戦力は封じられ、平山の手札は枯渇しなかった。

平山はドローして《霧縛りの徒党》で殴り、ターンを返す。

続けての狼トークン召喚に失敗した萩原は、勝利を目指して《狼骨のシャーマン》と狼トークンで殴るが、そこに飛んでくる《苦悶のねじれ/Agony Warp》! 《狼骨のシャーマン》は除去され、トークンは無力化されてしまう。

萩原も十分強いカードを引き込んではいるのだが、それにもまして有効カードを引き続けている平山。どちらも手札が枯渇したとは思えない展開である。

平山が持つ最後の一枚がかみ合わないカードであることを信じて、全力で《不敬の命令》をプレイする萩原だが……。

平山が手にしていたのは《否認/Negate》だった。

萩原 0-1 平山


平山大輔

Game 2

ポイントレース首位の増野が、常連たちにその強さを語られるようになったのは「プレイオフに入ってから中の人が変わった」と言われるほどドローが神懸かりになるからであるという。真偽のほどは定かではないが、スイスラウンド中の増野とプレイオフの増野では、安定度に違いがあるような気はする。

「一没の帝王」たる萩原がなぜその二つ名を頂戴することになったのか。もちろん、過去の戦績がそういう記録を残しているからではあるのだが、それ以上に「プレイオフに入ったらキングボンビーが降臨した」かのように、マリガントラブルに見舞われる萩原の姿を見かけることが多いからであろう。萩原もまた「プレイオフに入ってから中の人が変わる」といえよう。

先攻の萩原は、お約束のようにダブルマリガンをし、さらにその 5 枚のハンドを見て長考するハメになった。「帝王」の名は伊達ではない。

たっぷり悩んで 1 ランドキープした萩原に対して、テイクマリガンしたとは思えない 2 ターン目《苦花/Bitterblossom》スタートの平山。3 ターン目に《樹上の村》でタップインする萩原と、最速《ジェイス・ベレレン》で追加のドローをする平山。まったく容赦がない。

4 ターン目にしてようやく《狼骨のシャーマン》をプレイすることができた萩原は《樹上の村》 2 枚目をプレイしてターンを返すが、平山は《苦花》でフェアリーを量産し、《ジェイス・ベレレン》でドローを追加するというアドバンテージ祭りである。

族系で《眼腐りの終焉》がめくれて狼トークンを戦線に加えた萩原は、アドバンテージ祭りの元凶である《ジェイス・ベレレン》へ向けて《狼骨のシャーマン》をレッドゾーンへ送り込む。しかし、平山は豊富な手札から《苦悶のねじれ》をプレイして《狼骨のシャーマン》を除去してこれを許さない。

《変わり谷》だけが残っている平山の場を確認した萩原は、3 マナで《ハリケーン/Hurricane》をうち、2 体のトークンと《ジェイス・ベレレン》を排除することに成功した。

Negate

しかし、ダブルマリガンの萩原と、《ジェイス・ベレレン》によってドローを重ねていた平山の間に広がった差を埋めることは難しかった。

萩原が狼トークンでアタックすれば、これをフェアリートークンで受け止め、《ウーナの末裔》でサイズを上げて討ち取りを図る平山。萩原が《眼腐りの終焉》《ウーナの末裔》を除去しようとすれば、そこへ突き刺さる《否認》

萩原が《台所の嫌がらせ屋》をプレイすれば、そこへ突き刺さる《謎めいた命令》

これぞ「王者のマジック」といわんばかりに、萩原のプレイを次々と受け流して見せた平山が攻撃に転じたとき、レッドゾーンに送り込まれた攻撃クリーチャーは《変わり谷》とフェアリートークンが 2 体ずつに《ウーナの末裔》、合わせて 12 点。満タンだった萩原のライフは 8 となる。

最後のドローを確認した萩原は、勢いよく右手を差し出して勝者を称えることにした。いま自分に今シーズン 9 度目の一没を記録させた平山の勝利を。

萩原 0-2 平山


「一没の帝王」は、その風格ゆえに帝王と名付けられたのだが、準々決勝を観戦していた友人たちは、彼のことを「一没の貴公子おめでとう!」「さすが貴公子!」と呼び、肩を叩いて健闘を称え、そして慰めていた。なるほど、彼の潔さは、帝王というより貴公子と言った方がいいのかもしれない。

しかし、準々決勝で敗れてばかりとはいえ、その二つ名が付いたルーツをたどれば、少なからぬ回数プレイオフを進出しているという実績がある。となれば、目指すはより彼方である。萩原の来シーズンの健闘を祈ろうではないか。

願わくば、二つ名に恥じない奮迅の働きと、よりすばらしい成績が残せることを。あらたな二つ名で呼ばれん日のことを。

Final Result:平山大輔、準決勝進出!


Unlimitedblade Ver - Hagiwara Noriyuki / LMC Championships 2008
 4  ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
 4  レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher
 4  狼骨のシャーマン/Wolf-Skull Shaman
 4  台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks
 4  カメレオンの巨像/Chameleon Colossus
 3  護民官の道探し/Civic Wayfinder

23 Creatures 3 名も無き転置/Nameless Inversion 3 眼腐りの終焉/Eyeblight's Ending 4 思考囲い/Thoughtseize 4 不敬の命令/Profane Command
14 Spells 3 沼/Swamp 3 森/Forest 4 光り葉の宮殿/Gilt-Leaf Palace 3 ラノワールの荒原/Llanowar Wastes 2 黄昏のぬかるみ/Twilight Mire 4 樹上の村/Treetop Village 4 変わり谷/Mutavault
23 Land 60 Total Cards
 3  ハリケーン/Hurricane
 2  増え続ける荒廃/Incremental Blight
 1  眼腐りの終焉/Eyeblight's Ending
 3  叫び大口/Shriekmaw
 3  くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique
 2  枝細工下げの古老/Wickerbough Elder
 1  雲打ち/Cloudthresher

15 Sideboard Cards
Faerie - Hirayama Daisuke / LMC Championships 2008
 4  呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite
 4  ウーナの末裔/Scion of Oona
 4  霧縛りの徒党/Mistbind Clique
 1  誘惑蒔き/Sower of Temptation
 1  やっかい児/Pestermite

14 Creatures 4 苦花/Bitterblossom 4 謎めいた命令/Cryptic Command 2 霊魂放逐/Remove Soul 1 否認/Negate 3 名も無き転置/Nameless Inversion 1 苦悶のねじれ/Agony Warp 3 思考囲い/Thoughtseize 3 ジェイス・ベレレン/Jace Beleren
21 Spells 4 島/Island 3 沼/Swamp 4 地底の大河/Underground River 4 人里離れた谷間/Secluded Glen 4 沈んだ廃墟/Sunken Ruins 2 フェアリーの集会場/Faerie Conclave 4 変わり谷/Mutavault
25 Land 60 Total Cards
 2  コショウ煙/Peppersmoke
 2  死の印/Deathmark
 2  瞬間凍結/Flashfreeze
 1  否認/Negate
 1  蛇変化/Snakeform
 1  夢への委託/Consign to Dream
 2  蔓延/Infest
 1  思考囲い/Thoughtseize
 2  誘惑蒔き/Sower of Temptation
 1  剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticore

15 Sideboard Cards
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